真言宗 泉涌寺派 別格本山 雲龍院

うんりゅういん

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380年以上前、天皇が寄進した写経机に座り、
朱に染まる一文字一文字に心を込める。

京都・東山にある「雲龍院」は、皇室との深いつながりから『御寺(みてら)』とも呼ばれる「泉涌寺」の別院。創建当初より写経道場として深い功徳を伝える役割を担ってきました。

はじまりは南北朝時代。皇子時代の後円融天皇が如法写経を起こすべく建立した「龍華殿」が起源です。その後、江戸時代には後水尾天皇から写経机や仏具など百点以上のご寄進があり、現在と同じ場所に写経道場が建てられました。以降、毎年「泉涌寺」一山の僧侶が法華経を書写し、各宗から集まった門徒が研鑽に励み続けています。

後水尾天皇が寄付された写経机は今も使用させて頂くことができます。
写経の功徳を伝え続ける格式の高い道場で、天皇ゆかりの机に向かい写経する。貴重な体験をしてみませんか。

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雲龍院が伝える写経の功徳

「眼耳鼻舌身意」という道具を正しく使う

雲龍院の写経体験で書き写すのは「般若心経」262文字です。 
全600巻に及ぶ「大般若経」の真髄が込められているとされる262文字。
そこに「眼耳鼻舌身意」の6文字が含まれています。
 
「眼耳鼻舌身」は五感を働かせる体の道具。「意」は心。体は、心の支配によって動くため、心が悪い方向に動き出せば体もそれに従います。
心が良き方向に動けば、体も良き方向へと向かう。
体という道具を正しい方向に導くには、心を正しい方向に向ける必要がある、というのが雲龍院が伝える写経の功徳のひとつです。
 
雲龍院での写経体験はまさに心を正しくし、5つの道具を正しく使うことに導いてくれるものです。

写経前には3つの「お清め」を 
浄い心で一文字一文字を写すために、雲龍院では初めに3つの「お清め」をしていただけます。
 
ひとつめは『塗香(ずこう)』。
粒子状のさらさらしたお香を手と体に塗ります。
これは身体が行う三つの悪行(殺生・盗み・邪淫)を清めるため。
 
次に『丁字(ちょうじ)』。
丁子という木の花のつぼみを乾燥させたものを口に含みます。
グローブという名でも知られている丁子は、香辛料や漢方薬にも使われる独特の辛さと苦みが特徴。
口から発する四つの穢れ(みだらな事・無駄な噂話・悪口・嘘)を清めてくれます。
 
最後に『酒水(しゃすい)』。
加持祈祷された清水を頭に注いでいただきます。
これは心から生まれる三つの不浄(貪り・妬み・よこしまな考え)を清めていただくためです。
 
心身の浄化をしっかりと感じて、写経机に向かいましょう。

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写経体験レポート

雨に濡れる緑と、朱に染まる経文

体験に訪れた日は雨。
心穏やかに写経に向かっていると、そぼ降る雨の音と、雨どいを伝う雨粒の音が更に心を静めてくれる。
晴れた日のお寺で過ごす時間も心地よいものだが、自然の雨音に癒されるのも、また格別。
 
ふと顔を上げると窓外に見える庭の樹々や屋根瓦の色が雨に濡れて少し濃く、つややかになっていた。
 
写経道場には高さの異なる写経机が並んでいる。
座敷の一番低い机は380年以上も前に後水尾天皇によって寄進されたものをそのまま使っているのだとか。ぜひ使ってみたかったのだが、残念ながら高さが合わず窓際の椅子席に座っている。
 
ふたたび硯に筆を伸ばし、朱墨に浸す。
硯に注ぎ込まれる墨が朱色をしていたときは少し驚いたが、雲龍院では代々、朱墨で写経を行っているのだとか。
下から透ける文字を朱でなぞる。
これまでに何度も写してきた般若心経だが、朱色の文字はまた独特の迫力で心に訴えかけてくるものがある。
 
祈願文を記し終え、使わせて頂いた筆、硯、席などを整える。あと片付けまでが修行だということをしっかり心得ておかねばと思う。
ご本尊正面にある三方に写経を納めさせていただき、お抹茶をいただくために部屋を移る。

窓の形ひとつで、見える景色が変わる
 
お抹茶は、書院のどのお部屋でも心惹かれた場所で、とご案内して頂いた。だがどの部屋も素晴らしすぎて決めきれない。
 
広々とした「大輪の間」では外の景色も視界一杯に拡がる。縁側に近づけば奥行きのある庭に包まれた感覚になり、部屋に座れば場所によって庭が表情を変える。どの位置も捨てがたい。次に待っていたのは雪見障子の4つの窓が並ぶ「蓮華の間」。四角く切り取られた庭が不思議な情緒を醸し出す。正面に座れば額縁に入った絵が並ぶように感じ、斜めから見ればそれぞれに立体的な映像が浮き上がる。
 
さらに廊下を渡り、離れのような続きの間へ。まずは「月窓の間」。床の間の横壁が三日月形にくり抜かれているのが、名前の由来。満月の夜にこの穴に明かりが差し込むと、床の間に光の三日月が映し出される。外に満月。内に三日月。素晴らしい趣向に想像するだけで溜息がでる。
さらに最も奥にある部屋が「悟りの間」、窓は円形にくり抜かれた「悟りの窓」。円窓の向こうに覗く梅の木。「悟り」という言葉が深く染み入る。
 
結局、お抹茶は「月窓の間」で頂くことにした。ご住職の奥様が『あらゆる見え方、楽しみ方ができるようによく作られた建物』と仰った言葉に心底、うなづく。お清めから始まる写経、部屋のしつらえ、お抹茶を頂きながら眺める庭。すべてをゆっくり堪能でき、せわしい心などすっかり忘れてしまった。

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真言宗 泉涌寺派 別格本山 雲龍院で体験できる修行

  • 写経・書道

写経・書道

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■写経体験

本堂・龍華殿で写経体験ができます。
ご写経は納経していただくことも、お持ち帰りいただくこともできます。
写経・納経終了後には「大輪の間」「蓮華の間」など好きなお部屋でお抹茶をいただけます。

  • 受付時間

    毎日9:00〜15:30

  • 料金

    おひとり様1,500円(拝観料・御抹茶代込み)

  • 所要時間

    写経体験・拝観を含めて約1時間30分程度

  • ご案内

    事前予約は不要。但し、大人数の場合は事前予約要。