<宿坊研究会レポート06>兼務住職を救う「地域おこし協力隊」と組むモデル

「地域おこし協力隊」と宿坊の組み合わせに可能性を感じています。地域おこし協力隊とは3 年限定で過疎地域に移住する公務員制度。2009(平成21)年の開始以降、この制度は好評で隊員数は年々増え続けています。しかし任期終了後、地域にどう根付いていくかが課題となっています。縁もゆかりもない地域に飛び込んだ隊員がどのように地元で生活を築くかは、隊員自身はもちろん、受け入れる自治体や住民も考えなければならない問題です。

そこで昨年末に行われたのが「地域おこし協力隊起業化・事業化に向けた研修会」で、私も講師の一人として参加しました。日本全国どこにでもあるお寺や神社と、地域おこし協力隊が組み「お寺や神社と組めばこれまでと違った町作りができるよ」というアイディアを提案しました。私が示させて頂いたのが、上図です。

お寺A、Bを兼務している住職に、新たにお寺Cも管理してほしいという話が来たとします。しかし年に数件程度のお葬式ではそんなにたくさんお寺を管理しきれないという話はよく聞きます。そこで地域おこし協力隊が、お寺Cに入って宿坊として運営する。住職はお寺の法事やお葬式、宗教対応が必要な時にのみ顔を出し、施設管理は地域おこし協力隊にお任せする。これは管理できずにお寺が荒れてしまったり、盗難被害にあったりするよりは、住職にとってもお寺Cの檀家さんにとっても、そして地域おこし協力隊にとっても良い関係が築けるのではないでしょうか。

また、もう一つのパターンとして、すでに廃寺化しているお寺を地域おこし協力隊が宿坊にする方法もあります。さらに頭をひねっていけば、この2つの形を組み合わせることも可能です。
お寺を持たない僧侶がお寺Cに入っても、いきなり地域に溶け込むのは難しいこともあります。そこでお寺Aの住職と協力することで、お寺Cの宿坊にしっかりと関わることもできます。

私がこれからの時代を予測する上で重要視しているキーワードに「産宗官」があります。これは産学官になぞらえて私が勝手に考えた言葉ですが、ビジネス・宗教・行政が手を結ぶことで、これまでになかった新しいモデルが生まれます。この分野において全国寺社観光協会の宿坊創生プロジェクトは、その先端事業ではないかと期待を込めています。

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