宇宙と一体になる!弘法大師空海の希少な遺法『阿字観』体験

 

■阿字観とは

阿字観(あじかん)とは、真言密教の瞑想法の一つであり、瞑想により「世界と自分はひとつである」ことを実感することです。密教の根本経典の一つである「大日経」で説かれ、平安時代に弘法大師空海によって、日本に伝えられたとされています。
現在では、空海がひらいた高野山や真宗系寺院で体験することができます。

 

■阿字観までの道のり

阿字観は、その字の如く「阿」(サンスクリット語)の字を観ながら瞑想を行いますが、とても高度な瞑想法です。そのレベルに至るまでいくつかの段階を踏みます。
まずは、最終段階の阿字観に至るまでのレベルを順を追ってご紹介します。

(1)数息観(すそくかん)

呼吸に意識を集中させて精神を安定させていく瞑想法で、一般的なのヨガや禅と通じるものがあります。宿坊などでの体験の多くは、心をリラックスさせる方法としてここから始められます。
「ひとーつ、ふたーつ・・・」と呼吸をしながら心の中で1から10まで数を数え、10までいったらまた1に戻ります。簡単そうに聞こえますが、悩みやストレスが多い人は、数えることを中断してしまうことが多くなる傾向にあるそうです。

(2)阿息観(あそくかん)

数息観ができるようになったら、次の段階です。数息観で呼吸を数えるのに対して、 阿息観では「ア」の声を唱えて瞑想します。
息を「アー・・・」と唱えながら口からゆっくりと全部吐き出します。吐き出した「ア」は、少しずつ遠くへ流れていくイメージ。その後、鼻から「アー・・」とゆっくりと息を吸い込みます。

(3)月輪観(がちりんかん)


月輪本尊と呼ばれる、満月をあらわす円が描かれた掛け軸を置き瞑想を行います。この掛け軸は、座ったときにちょうど目の高さに月輪が見えるようになっています。心の中に満月(月輪)を観じて、最終的には自己と宇宙が一体となると感覚を得るのが月輪観です。

(4)阿字観(あじかん)


いよいよ最終段階です。月輪観に習熟したら、満月輪の中に阿字を置いて観想する阿字観に移ります。月輪観と同様に掛け軸(阿字観本尊)を目の前に座り行ないます。月輪観と同様に阿字観でも、宇宙と一体となる感覚を得ます。

 

■効果

習得するレベルによって得られる内容は異なりますが、基本的に「姿勢」「呼吸」「心」を整えることで、集中力が向上したり、ストレスが軽減し気分が改善したり、疲れにくくなったりといった効果が得ることができます。
なお、月輪観や阿字観の段階となると、不思議な境地に陥り混乱する場合もあるそうなので、しっかりとした指導の元で行ってくださいね。